マニュアルなしの開業ってどう? HOTEL GRAPHY 渋谷の4人が語る、変化を楽しみながら歩んだ2年間
グローバルエージェンツ(以下、GA)では現在、さらなる事業拡大に向けて複数の新規施設を開業予定です。 今回は、ちょうど2年前の2024年3月にオープンした「HOTEL GRAPHY 渋谷」と、併設レストラン「Graphic Grill & Bar」の立ち上げを経験した4名が集結。開業ならではの楽しさややりがいはもちろん、オープンから2年を経てどのようにチームを築いてきたのか、その変遷を語っていただきました。
ーなぜ「開業メンバー」に手を挙げたのか教えてください。
米澤 実は、自ら「開業をやらせてほしい」と手を挙げたのは、私だけなんです(笑)。
ーえっ、そうなんですか? 他の3人は「入社してみたら、たまたま開業フェーズだった」ということ?
米澤 そうなんです。例えば佐藤君は、もともと「THE LIVELY 東京麻布十番」に応募してくれていたんです。でも面談でお話しして「彼と一緒に働きたいな」と強く感じました。HRとも相談して、立ち上げメンバーとしてスカウトさせてもらいました。
佐藤 合否連絡を待っていたら、「採用・不採用」ではなく「新規開業の施設があるんだけど、そこで働いてみない?」という予想外の打診がメールで届いて。正直、驚きました(笑)。
大貫 僕の場合は、当時はまだレストランの名前すら決まってなくて、求人票には「Graphic(仮)」って書いてありました(笑)。前職では希望通りの仕事ができないもどかしさもあって……。ちょうど第二子が生まれたタイミングで家庭環境の変化もありましたし、何よりGAの福利厚生の充実ぶりに惹かれて、迷わず飛び込みました。
米川 私は前職の環境が少し自分に合わなくて、「もっと自分らしく、自由度の高い職場で働きたい」と探していた時に出会ったのがここでした。
ー米川さんは、入社してすぐ髪色が変わっていったのが印象的です(笑)。
米川 面接で何色までOKですか?と聞きました(笑)。
米澤 何色で来るか楽しみだったよね!
米川 最初金髪にして、そのあと緑になったり青になったり…。ここまで個性を尊重してくれるのは、ホテル業界の中でもかなり珍しいし、自由度の高い会社だなと実感しています。
ー実際に入社してみて、想像していた「開業」とのギャップはありましたか?
米川 私の場合は、前職が完全なトップダウンの環境だったんです。目の前の決められた仕事を終わらせるまでは帰れない、という世界。だからこそ、ここに来て「マニュアルがまったくない状態」には本当に驚きました。
ー正反対の環境ですね。
米川 はい。「これ、私が勝手に決めていいのかな?」って、最初はブレーキをかけてしまう自分がいて。やろうと思えば何でもできてしまうからこそ、その自由度の高さにどこまで踏み込んでいいのか、手探りの状態でしたね。
佐藤 僕はそれで言うと、ギャップ自体はあまりなくて。それよりも僕が考えていたのは、「自分にはここで何ができるか」ということでした。ホテル業界も未経験、GAの文化もまだ深くは知らない。でも、何も知らないフレッシュな状態だからこそ、目の前の変化に狼狽えることなく、フラットに動けたのかもしれません。
ーマニュアルがない中で、どうやって今の「HOTEL GRAPHY 渋谷」らしさを作ってきたのでしょうか?
米澤 「こうしたい!」という理想が最初からあったわけではないんです。どちらかというと、結果として良い雰囲気になっていった、という表現が近いかもしれません。
私が皆さんに最初から伝えていたのは、私自身もホテル経験がそんなに長いわけではないし、これまではフロント業務が中心で、ゼネラルマネージャーは初めての挑戦だということ。だから「とにかく皆さんに手伝ってもらいます」と伝えました。その代わり、他の企業では叶わないようなことを、裁量を持って取り組めるよ、とも。
あとは、関東圏内に自社の施設がたくさんあったことにも本当に助けられました。開業時のドタバタの中で大きな発注ミスをしてしまったことがあったのですが、あの時は本当に焦りましたね。急いで関東圏内の全施設に電話して状況を伝えたら、なんと全施設が備品を届けて助けてくれて……。本当にたくさんの仲間に支えられながら今がある、という感じですね。
ー自分たちで決めたルールは、今でも引き継がれているんでしょうか?
佐藤 僕は最初、アルバイトスタッフの採用や教育まで任せていただいたんです。米澤さんも言っていた通り、トレーニングのプログラムに関しても、かなり自由にやらせてもらいました。
その時に一番大切にしたのは、マニュアルや業務オペレーションの細部を教え込みすぎないこと。オペレーションは、今後絶対に変化していくものですから。
だから、まずは米澤さんの想いの部分をヒアリングして、それをベースにした「マインドセット」を一番に伝えました。GRSとしてゲストとどう接したいか、どんな接客を大事にしたいか。そうやってマインドを揃えて、チーム全員で動くことを徹底したんです。そのおかげで、アルバイトの子たちも含めて、最初から強い「チーム感」がありましたね。
ーいいですね。「お辞儀はこの角度で!」といった形式ではなく、根本にある気持ちの部分を揃えていった、と。
佐藤 そうなんです。GAは「文化創造企業」という大きなテーマを掲げていますが、マインドを揃えることで、スタッフが自らカルチャーを作っていってくれる。それが次の人、また次の人へと受け継がれていく。振り返ってみると、「開業」というフェーズにおいて、それはすごく大事なことだったんだなと思います。
ー同じ階にフロントとレストランがあるのはHOTEL GRAPHY 渋谷の特徴かなと思います。お互いにリスペクトしているところはありますか?
米澤 大貫さんは、本当によくゲストの中に「ファン」を作るんですよ。
ーファンですか! 例えばどういうことでしょう?
米澤 大貫さんがバリスタの大会に出場することになった時、ハネムーンで滞在していた海外からのゲストが、大貫さんの勇姿を見に会場まで応援しに行っていたんです。
大貫 僕自身、初めて出場した大会だったんですけど、その1、2週間前くらいに滞在してくださったゲストが、お店をすごく気に入ってくれて。一応……と思って観覧チケットをお渡ししたら、本当に来てくださったので驚きました(笑)。旅行の最終日の前日だったんですよ。
米澤 究極のローカル体験ですよね(笑)。
ーHOTEL GRAPHY 渋谷は、地域のコミュニティづくりやエリアマネジメントという役割も担っていますよね。エリアマネジメントという面で、地域の方との交流で印象に残っていることはありますか?
米澤 地域に馴染むのって、本当に難しいですよね。最初は迷走していた時期もありました(笑)。とにかく色々なことをやってみて……。「なんだ、この建物は?」と興味を持って見てくれる方はいたので、まずは「私たち、こういう者です! 怖くないですよ!」というのをアピールすることから始めました。
日曜日にエプロンをして、外で朝食のスムージーを配ったり。そうやって、ちょっとずつちょっとずつ歩み寄ってきました。
大貫 年に数回、日頃からレストランでお世話になっている『風の丘ファーム』さんと『高農園』さんの野菜を販売するマルシェを開催しました。そうしているうちに、何回かリピートしてくださる方もいらっしゃったりして。
米澤 すごく印象的な話があって……。1年目はとにかく必死に色々なことに挑戦して、2年目に入ってエリマネのイベントも徐々に増えてきました。
そして、大きなファッションショーのイベントが無事に終わった時、東急の担当の方が「やりましたね!」ってグータッチをしてくださったんです。あれは本当に嬉しかった。
その1週間後に開催したキャンドルナイトのイベントでも、通路が通れないくらい人で溢れていて。「ああ、ここにこんなに人が集まっている……!」と感動しました。少しずつですが、色々なことを積み重ねながら、今の形にしていっているところです。
ー皆さんが、まさに「GAらしい」「LIVELY HOTELSらしい」と感じるところは、どんな部分でしょうか?
米川:関東圏のホテル同士の距離が近いこともあって、忘新年会などの繁忙期には、他のホテルのスタッフがシフトの手伝いに行ったり来たりするんです。これってすごくGAらしいなと思います。以前働いていた職場では、自店舗以外のヘルプなんてなかなか無かったので……。
ー確かに、その軽やかな横のつながりはGAの強みですよね!
大貫 あとは、手を挙げたら何でもやらせてもらえるところ。僕は今、月に一度ワークショップを開催させてもらっているんですが、これまでの職場では考えられないことだな、と感じます。
米澤 自分のチームメンバーもそうですが、急なお願いをしても、なんだかんだ言いながらも、前向きにやってくれるんですよね。「これやります!」って、結構見切り発車で急に始めることも多いんですけど、GAの人たちはすごく前のめりに協力してくれる。
大貫 僕はそういう急なリクエスト、実は結構燃えてます(笑)
ー開業から2年、個人として「成長したな」と実感する部分はありますか?
米澤 自分の成長……。何か特定のスキルができるようになったというより、抱える「悩み」の質が変わってきたなと感じます。開業当初の悩みと、今の悩みは全然違う。悩み自体が変化し、進化していること自体に、自分自身の成長を実感していますし、そこに嬉しさも感じているんです。
米川 私は、自分が「やったことのないこと」がいっぱいあったんだな、と気づくことができました。GAに入社して、初めて「これは苦手だな」とか「これが楽しいんだ!」と自分の感覚を知ることができたんです。
以前の職場では、とにかく目の前のタスクを終わらせることばかり考えていました。「やりたい・やりたくない」を考える次元にすらいなかった。
あとは、アルバイトの子も含めて若いスタッフが多いので、自分が当たり前だと思っていたことは、実は自分の経験の上で身につけてきたものだったんだ、と。新しいことに気づくと同時に、自分の中に蓄積されていたものにも改めて気が付けました。
ー最後に、これから新規3施設の開業に挑む仲間へ向けて、皆さんが「こんな人と働きたい」と思う人物像や、開業の楽しさを教えてください。
大貫 僕は、自分自身のことをよく知っていて、いい意味で「キャラが立っている人」と一緒に働きたいですね。HOTEL GRAPHY 渋谷には、フロントスタッフだけどSNS用の写真を撮るのが得意で、それを仕事に活かしている人もいます。趣味レベルの「好きなこと」であっても、自分から手を挙げれば業務に繋げられる。そんな環境を楽しめる人がいいなと思います。
米川 私は大貫さんとは逆の視点かもしれませんが……(笑)。開業はすべてがゼロスタートなので、「何かやりたいけど、具体的に何をすればいいかわからない」という人でも、まずはこのカオスの中に飛び込んでみてほしいです。やっていくうちに「これが楽しいかも」「これならやりたい!」と、自分の居場所が必ず見つかる環境だと思います。「やる気だけはあります!」という人も大歓迎です。
佐藤 やっぱり、楽しみながら開業に携わっていただくのが一番かなと思います。「楽しさを探そう」と構えすぎると、逆にポジティブになれないこともあるかもしれない。目の前で起きるすべての挑戦をまるごと楽しむ姿勢を持てる人は、開業というフェーズには特に強いはずです。
米澤 私は以前、UNWIND HOTEL & BAR 小樽でアルバイトとして開業を経験し、今回はゼネラルマネージャーとしてHOTEL GRAPHY 渋谷の開業に携わりました。立場が違うと見える景色も全く違います。ただ、どの立場で関わっても共通して言えるのは、開業は「オープンしたらお疲れ様」というのがゴールではなく、実はそこからが本番です。応援のスタッフが去り、自分たちだけで運営していく中で、簡単ではないけど、そこから少しずつチームができていくのも、開業の面白いところだと思います。
もし開業に少しでも、0.1%でも興味があるなら、一度は経験してみてほしい。それは人生において、なかなか巡り合えない「ラッキーな機会」だと思うんです。メンバーによって得られるものは違いますが、必ず自分の経験値になります。少しでも興味があるなら、ぜひ挑戦してみてください!
▼元気いっぱい渋谷を駆け抜けるメンバー。
